2016年トルコクーデター未遂事件について!なぜ起きたのか?トルコリラへの影響は?

トルコリラが下げ続けた理由の一つにトルコクーデター未遂事件があります。

トルコで軍の一部がクーデターを計画し、失敗に終わった政変です。これは民間人を含め死者は290人に及んだと言われています。

どういったクーデターが起きたのか?

エルドアン大統領に対するトルコ軍の反乱勢力が2016年7月15日夜、トルコの大都市イスタンブールや首都のアンカラに戦車や軍用機を展開し、国営テレビ局を乗っ取って夜間外出禁止令をトルコ全土に発令したのです。

その時、エルドアン大統領は休暇でリゾート地マルマリスに滞在していました。

反乱勢力の首謀者はこのタイミングを利用してエルドアン大統領を攻撃することを決定し、エルドアン大統領の滞在するホテルに乗り込みました。

運良く大統領特別治安部隊がエルドアン大統領をホテルから退避させていたのです。

ホテルは爆破され間一髪で難を逃れたエルドアン大統領は治安部隊によって近くのホテルで安全を確保されることとなりました。

それでも諦めない反乱勢力は首都アンカラの大統領府を爆撃し、その付近に居た一般市民が犠牲となり死者が290人に及んだのです。

結果、トルコ正規軍により反乱軍は撃墜されクーデター発生から12時間で鎮圧しました。
 

なぜクーデターが起きたのか?

トルコは人口の99%がイスラム教徒でありながらトルコ建国の父である初代大統領のアタテュルクが打ち出した「世俗主義」を国是としてきました。

「アタテュルク」はトルコ紙幣に描かれている人物です。

トルコ国民が崇拝する偉大なる指導者でした。

世俗主義とは公の場に宗教思想を持ち込まないという考え方です。

軍人のアタテュルクの思想を受け継ぐトルコの国軍は「世俗主義の守護者」を自認していることで有名です。

故にイスラム色の強いエルドアン大統領の強い政権のときにはしばしば政治介入し、クーデターも頻繁に起こしてきた背景があります。

民主主義や世俗主義に逆行するエルドアン大統領のこのような政治姿勢に対して反乱勢力が大きくなっていったのでしょう。
 

黒幕は一体誰だったのか?

イスラム説教師のフェトフッラー・ギュレンと言われています。

2013年11月、エルドアン政権が突然、予備校の全廃を宣言しました。

進学競争が加熱しているイスタンブールで低所得者層のクルド人が住んでいる貧困地域で教育の向上に取り組んできたギュレン支持派が怒りをあらわにしたのです。

ギュレンとエルドアン大統領は協力関係にあったものの2013年12月にエルドアン政権に大規模汚職事件が発覚し、エルドアン側はギュレンが仕掛けたものとして両者の関係は悪化しました。

警察や検察に居るギュレン支持派による陰謀だとエルドアン大統領が怒りを爆発させたのです。

こうしたことからトルコ政府は反乱勢力がギュレンとつながっていたとされています。

トルコは米在住のギュレンの身柄引き渡しをアメリカに求めたが首謀者であることの証拠提出を求めており、引き渡しを今もなお拒んでいます。

そのためトルコとアメリカの関係は悪化し続けています。
 

ギュレンとはどんな人物?

神仏を深く敬うバザール商人たちに生きる指針を与えたのがギュレンです。

彼の「教え」というのは辛気臭い原理原則を説くものではありません。

じゃんじゃん儲けて信徒との会話を通じてその喜びをイスラム的なもっとキラキラ輝くような喜びに昇華させるための生き方を説いたのです。

これにより昔は治安が悪かった世界遺産のある旧市街にギュレンの教えを受けたギュレン派によるヒズメト運動が観光客に親切に接し、商売を形成していき今日の観光大国にしたと言われています。

ヒズメト運動はイスラム的道徳を社会にもう一度根づかせることで明らかに世の中を明るくしました。

エルドアン大統領が敵視するクルド人のような貧困層にとっても中流層にとっても希望のもてる社会をつくることに一歩前進したのです。

しかし、彼らのヒズメト運動は政治化しないと言いつつも明らかに深く政治的に根付いてしまったのです。

政治家の不正を組織的に追及するようなことを彼らが行えばそれは草の根の助け合い運動として語ることはできません。

社会改革運動であることは事実だとしても政権中枢を脅かすところまでやるなら立派な反政府運動になります。

これもまた運動が巨大化していくなかで一人一人のムスリムとしての良き意図が集団化すると恐ろしいほど強力な政治的な爆弾になりうることを示しているのです。

彼は現在の世俗主義の憲法を廃止してイスラム法にせよというような過激なことは一切言わずモスクをつくるならその分、学校を作れと言うほど。

そのあたりが他のイスラム主義思想家とはだいぶ異なるので不気味に思われていたようです。
 

今回の反乱勢力への処罰

関与したとされる軍関係者が次々に身柄を拘束され軍関係者、検察当局や判事など司法関係者の約7,500人以上を拘束したほか、警察官約7900人、地方の知事や首長30人を含む公務員8700人が解任されました。
 

第一ボスポラス大橋が改名される【7月15日殉教者の橋】

今回のクーデター未遂事件で反乱軍の兵士が橋を封鎖しこれに抵抗した市民が犠牲になるなど象徴的な場所となりました。

エルドアン大統領の旧友であり2014年の大統領選でエルドアン陣営の選挙活動を立案したエロル・オルチャク氏がボスポラス大橋の上でクーデターに抗議していた際、16歳の息子と共に射殺されたとNEWSで知りました。

7月25日、ビナリ・ユルドゥルム首相により現在の【7月15日殉教者の橋】という名称に改称されることが発表されたのです。

第一ボスポラス大橋,7月15日殉教者の橋

 

トルコリラへの影響

このクーデーターによりトルコリラは36円~34円へ2円の下げるという結果となり、2016年末までジリ下げて33円台のレンジ相場が続きました。

2016年6月24日に起きたブレグジットショックによる37円~34円の3円の下げにも及ばない為、今後万が一、クーデターが起きてもそこまで心配する必要はないのかなと、自分なりの指標を作ることができました。