トルコ軍によるロシア軍機撃墜事件とは?トルコリラへの影響は?

2015年11月24日にトルコ・シリア国境付近で、ロシア空軍の戦闘爆撃機がトルコ軍に撃墜されました。

トルコとシリアの国境付近で、ロシア空軍のSu-24戦闘爆撃機がトルコの領空を侵犯したとしてトルコ軍のF-16戦闘機に撃墜され、シリア北部に墜落しました。

なぜトルコはロシアを攻撃したのか?

トルコ軍は国籍不明機2機が領空を侵犯したと認識し、10回警告したが領空侵犯を続けたため1機を撃墜したと主張しています。

Su-24の乗員2人が死亡しました。

ロシア軍は撃墜事件が起きる前の10月3日にも、トルコの領空を侵犯したとしてトルコから抗議を受け「操縦ミスだった」と説明していました。

不幸中の幸いにもトルコは自国内の領域を守るための正当防衛でありロシア側は操縦ミスで侵入してしまったという結末だったことですね。

ロシアによるトルコへの経済制裁について

トルコで初めての原子力発電所の建設を請け負っているロシア国営ロスアトムが工事を中断したとロイター通信がトルコ政府高官の話として報じていました。

15年11月のトルコによるロシア軍機撃墜事件でロシア側が発動した経済制裁がエネルギー協力の分野に拡大したのです。

この原発は地中海沿岸のアックユで15年4月に着工。出力120万キロワット級の原子炉4基を200億ドル(約2兆4千億円)で建設する計画です。

12月前の出来事であったため、冬の到来を前に天然ガス輸入の5割強を依存するロシアに経済制裁の発動を許せばエネルギー調達に支障を来します。

これにより国民生活や足踏み状態にある経済への影響が避けられないとの危機感があると報じられたこともありました。

ロシアによる経済制裁が長期化すれば、トルコ経済へ一定の悪影響を及ぼすとみられると言われました。

トルコの大手証券、ガランティ証券は11月30日、経済制裁に伴う損失額が2016年は同国の国内総生産(GDP)の1%に相当する50億~80億ドル(約6000億~1兆円)に達するとの推計を発表したのです。

ちなみに14年のトルコのGDPは8000億ドルでした。

ロシアが発令した制裁
  1. ロシア人のトルコへの旅行制限
  2. ロシアにおけるトルコ企業の活動制限
  3. トルコ産食品の禁輸措置が柱です。

ガランティ証券の推計にはロシアで活動するトルコの建設業や小売業などへの影響額は含まれていませんでした。

これらの業界も「相当な打撃を受ける」(チーフエコノミストのギゼム・アルテゥンサチ氏)ため全体の損失額はさらに膨らむ恐れがあると述べていました。

ロシア機撃墜でトルコ謝罪、両国の関係は正常化へ

トルコのチャブシオール外相はロシア南部ソチを訪問し同国のラブロフ外相と会談しました。

2015年11月のトルコ軍によるロシア軍機撃墜事件で悪化した両国関係の正常化で一致したのです。

会談後、チャブシオール氏は「関係は(良好だった)過去に戻り始めた」と述べました。

両国関係を巡っては16年6月27日、エルドアン大統領がプーチン大統領に対し撃墜を「謝罪」する書簡を送っていたことが判明しました。

16年6月29日には事件後初の両者の電話協議が実現したのです。

この背景には約900キロメートルにわたって国境を接するシリア情勢も大きく影響しています。

トルコはアサド政権の退陣を求める姿勢を表向きは維持していますが、ロシアの後ろ盾を得た同政権の優位が固まり、エルドアン大統領は現状の追認を迫られているのです。

シリア北部のトルコ国境沿いではクルド人勢力が支配地域を広げてきました。

国境を挟んでトルコ国内に暮らすクルド人の分離・独立機運が高まりかねず、安全保障上の最大の脅威となっているのです。

首脳会談では同勢力の抑え込みでプーチン氏に協力を求めました。

ロシアとの関係正常化は相次ぐテロやクーデター未遂の影響で減速が懸念される経済テコ入れの面でも不可欠だったのです。

ロシアとの関係悪化の懸念により事件発生から約2ヶ月余りでトルコリラ円は4円下げる結果となりました。

しかし、関係が改善してからは上昇基調に転じ、今ではロシアとトルコの関係は蜜月の関係とも言えるほどに回復しています。